ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』に出てくる、古い屋敷やお庭の舞台イメージとなった場所であり、京都の無鄰庵(むりんあん)、清風荘とともに明治時代の三名園の一つに数えられる盛美園。国の名勝にも指定されています。

津軽地方に数多くみられる大石武学流の造園を代表する庭園でもあります。 大石武学流の特徴としては、座敷から座って観賞する形式で作られたものが多いこと。主屋の座敷から見て庭の奥へ向かって観賞上の軸線を設けます。

大石武学流庭園の中で、一番重要とされるのが、「礼拝石（らいはいせき）」という庭の中央に配置された巨石です。そして、縁先にある沓脱石（くつぬぎいし）から、庭の中心となる礼拝石までの空間（庭前）に飛び石を打ち、その左右に蹲踞（つくばい）と二神石（にしんせき）の空間を設けます。

ほかに青森県内の代表的な大石武学流の庭園としては、弘前市の弘前城植物園見本庭園や瑞楽園、中泊町の宮越家 離れの庭園があげられます。

盛美園の一角に佇む盛美館は、庭園を眺めるために建てられた和洋折衷の建物。一階は純和風、二階はルネッサンス調の洋風であり、上下で異なる様式の建物は大変珍しく、日本で他に例がないと言われています。

庭の池に映る上下対称のその様は、日本庭園と調和した独特の美しさで、撮影スポットとしてもよく知られています。

書院窓の障子の蜘蛛の巣模様の桟や、曇りガラスを丸く抜いた窓がはめ込められ、絵画のような借景を楽しめる障子など、モダンで洗練された細部の技術も見どころのひとつ。

盛美館は、さまざまな異国の様式から意匠を取り出し、組み合わせて採用しつつ、壁や骨組みにおける構造は元来の技法を用いる和洋折衷の擬洋風建築の代表とも言われています。

猿賀神社のすぐ隣にあるため、ぜひどちらも訪れてみてください。