県民の2大朝活 ”朝ラー”と朝風呂

青森県民の朝は早い。
県民が誇るデータベース「ピカイチデータ 数字で読む青森県2023」によると、青森県は早寝・早起きともに全国1位である。青森県は日照時間が短く朝早くから農作業をするためだとか、日の出が早いという地理的な要因だと言われているが諸説ありだ。


ー朝活その①「朝風呂」
そんな青森県には県民誰もがうなずく朝活がある。
まずはなんといっても「朝風呂」。ここで言う「朝風呂」は早朝に公衆浴場(以下「風呂屋」)に行くことを指す。「ピカイチデータ 数字で読む青森県2023」によると、青森県は人口あたりの公衆浴場数が全国1位なのである。もはや県民も歩けば風呂屋に当たると言わんばかりの数だ。しかも朝5時や6時からの営業が通常スタイルという驚きの早さ。
また、車社会の青森県では、いつでも風呂屋に行けるように多くの県民が車に風呂道具セットを積んでいる。浴場の水を切りやすいように網目のバスケットにシャンプーやボディーソープを入れておくのが一般的なスタイルだ。近頃は県民の習慣を「BABY IN CAR」のステッカーさながら「風呂道具IN CAR」とあらわしたステッカーを県職員が作成し話題になっている。気になる方はXで検索すると、このステッカーを販売しているお店(主に風呂屋)が掲載されているのでぜひ購入いただきたい。

【写真:風呂道具、風呂道具ステッカー】

そして、県外の方に驚かれるのがその入浴料の安さである。入浴料は物価統制令に基づき都道府県知事が上限を定めることになっており、青森県の上限は480円。青森県の風呂屋は多くが天然温泉である上、露天風呂やサウナがついていることも多く、ワンコインで贅沢を味わうことができる。
街中にも風呂屋があるので、旅行者の方は少し早起きをして、朝風呂を体験してみてはいかがだろうか。シャンプー、リンス、ボディーソープが備え付けの風呂屋が多く、タオルの貸出をしているところも多いので安心だ。もちろん昼も夜も入浴できる。


【写真:内湯、露天風呂】

ー朝活その②「朝ラー」
もうひとつ県民お馴染みの朝活、それは「朝ラー」。
つまり、朝に食べるラーメンだ。もちろん都会では朝からやっているラーメン屋は珍しくないかもしれないが、青森県は地方都市の割に朝ラー提供店舗が非常に多いと感じる。独自に調査したところ青森市内だけで20店舗以上もある。青森県の朝ラーのスタンダードは「煮干しラーメン」。煮干しラーメンにはあっさり系とドロドロ系の2系統あるが、あまり煮干しについて語ると紙面が確実に不足するし、煮干し論争(青森県には煮干しラーメンを語る人が本当に多い)が勃発するので、詳しい説明は別の機会に譲ろう。とにかく青森は煮干しラーメン王国なのである。


【写真:くどうラーメン丼、くどうラーメン店内】

朝ラーの効用は、なんといってもその罪悪感のなさと言えよう。夜遅く、飲んだ帰りにすするラーメンは官能的なうまさだが、翌日には後悔の嵐にさいなまれる方も多いはず。しかし、朝ラーは罪悪感ゼロで、もはやカロリーもゼロなのではないだろうか。朝ラーで旅行者の方にオススメなのは、青森市の老舗ラーメン店「くどうラーメン」(青森県で一番多い苗字は工藤だそう)の「ラーメン(小)」だ。あっさりと優しく、煮干しと焼きぼしの香りが上品にすっと鼻を抜け、さっと食べられ、「粋」である。
青森県へ旅行に来る方はきっとその美食を前に暴飲暴食していただけること必須であろうから、そんな日の翌朝はぜひ朝風呂と朝ラーで心と体を整えていただきたい。


【写真:くどうラーメンの主人】

ーおまけ。「朝野球」
青森県では朝野球も盛んだ。
私も朝野球チームに所属しているが、プレイボールが朝5時15分で、集合は朝4時30分。早すぎないか?
平日も試合があるので試合後に仕事へ直行するが、もはや昼には充電切れだ。試合の朝、起きる度にもう辞めてしまおうかという思いにも駆られるが、休みの日に朝野球⇨朝風呂⇨朝ラーの朝活フルコースを味わうと、「ま、続けるか」と思うのだった。

文:くどお
弘前市生まれ青森市在住。大学で上京するも満員電車から逃避するためUターン。朝風呂とひっそりとたたずむ喫茶店を愛するアラフォー男子。